2018年度版 グランドソフトボールルール 全日本グランドソフトボール連盟 グランドソフトボールについて  グランドソフトボールは、視覚障害者が行う競技として誕生し、「盲人野球」という名称で全国に普及しました。その後、グランド(GRAND)=感銘的な(すばらしい)ソフトボールとして名称を変更しています。  本競技は、全盲プレイヤーと弱視プレイヤーがチームを組み、攻守に別れて試合をします。全盲プレイヤーは、アイシェード(目隠し)を装着して完全に見えない状態で、ボールの転がる音や頭の中のイメージなどを頼りにプレイし、弱視プレイヤーは各自の見え方に応じてプレイします。  ルールは、全日本グランドソフトボール連盟が定めるルールのほか、(公財)日本ソフトボール協会制定の「オフィシャル・ソフトボール・ルール」が補完的に適用されています。  現在、本競技は視覚障害者だけでなく障害のない方々にも親しまれ、障害者スポーツの枠を超えた広がりを見せ始めています。 ルール1 競技場 1—1項 競技場の条件 競技場は、平坦かつ障害物のない地域でなければならない。 1—2項 競技場 1—2・1 競技場全体図及び各図は、次による。(競技場全体図及び各図参照) (1)外野のノープレイラインの区画は、投手板の前縁の中心から、両ファウルラインの交点まで円形に引き、引き続き両側ノープレイラインの交点までノープレイラインとして延長する。 (2)ノープレイラインの外側にノープレイエリアを設ける。 ノープレイラインの外側4m以上の距離に、それぞれファウルラインに対し、平行にグラウンド境界線を区画し、その範囲をノープレイエリアとする。 (3)本塁と投手板は、地面と水平に埋め込む。 (4)守備ベースは、堅牢にその位置に固定する。走塁ベースは、走行方向に横長に置くが固定しない。そのため、走塁ベースと同じ地面の区画を石灰等で表示して固定ベースとする。 1—2・2 競技場を画定する諸線は、区域内である。各ラインの幅は7.62cmとする。 1—2・3 競技場の区域 (1)フェア地域とは、競技場の一部分であって、守備ベースの本塁から一塁及び三塁を通って、競技場の外野のノープレイラインまで引いた直線と、その線の垂直な上方空間との内側の部分をいう。 外野のノープレイラインは、本塁ベースの外側の隅から両ファウルライン45mで、ピッチャーズプレートの前縁の中心を支点とした円の範囲とする。 (2)ファウル地域とは、競技場の一部分で、フェア地域以外の部分をいう。 フェア地域を示すファウルラインからそれぞれに平行するノープレイラインまでの範囲であり、その距離は10mである。しかし10m取れない場合は6~10mの範囲で可能な限り広く取る。 (3)内野とは、本塁守備ベースを一角とした、18m四方のフェア地域の部分をいう。 (4)外野とは、内野のフェア地域を除いたフェア地域の部分をいう。 (5)プレイヤーズベンチは、グランド境界線の外側の場所で、競技場の左右に設け、その区域を明確にする。 1—3項 競技場の特別ルール 競技場は、状況に応じて特別ルールを作ってもよい。 ルール2 用具 2—1項 バット バットは、全日本グランドソフトボール連盟(以下、「連盟」という)が認めたもの、日ソの検定したもの、または公認野球規則に合致したものでなければならない。 2—1・1 バットの規格 バットは、丸い棒で一本の円筒であり、最も太い部分の直径が7.0cm以下、長さは106.7cm以下とする。 2—1・2 安全グリップ (1)安全グリップは巻かなくてもよい。(金属製バット及びソフトボール用は除く) (2)安全グリップを巻くときは、25.4cm以上の長さで、バットの細い端から38.1cm以内に巻かなければならない。 (3)滑り止めのためロジン・スプレイの使用を認める。 2—1・3 バットの材質 木、竹、または合成金属で作られたものとする。 2—2項 不正バット・変造バット 2—2・1 不正バット・変造バットとは、次のものをいう。 (1)2—1項に合わないもの。 (2)2—1項に合致したものでも使用後、変形や安全グリップが不完全となったもの。 (3)ノックバット、タイカップ、マスコットバット及びトレーニングバット等。ただし、トレーニングバットは実打撃可能なものの使用を認める。 (4)検定バットを余分なテープで巻いたり、ペンキを塗ったり等改造したもの。 2—2・2 不正バット・変造バットを打者席に持ち込んではならない。 <ペナルティ> ①ボールデッド ②打者アウト ③走者は進塁できない。 2—3項 試合球 試合球は、破損のない連盟公認球とし、空気圧は適性圧力を450hPaとする。 2—4項 手袋 スポーツ用手袋が使用できるが、打撃には野球用手袋を使用する。ただし、投手が投球する側の手には使用できない。 審判員は、本項に対する違反を発見した場合はただちに是正することを命じる。 2—5項 靴 (1)金属製スパイクは使用できない。 (2)ころび止めは靴底から1.9cm以内とする。 2—6項 ヘルメット・マスク 危険防止のために必要に応じて、ヘルメット・マスク等を着用することができる。 2—7項 アイシェード アイシェードは、本体部とストラップからなる。 ①本体部の改造等による、仕様変更は認めない。 ②ストラップについては、破損時の交換は認める。 (1)全盲プレイヤーは、競技中連盟公認のアイシェードを装着しなければならない。 (2)不正使用した場合は、当該選手を退場させる。 (3)アイシェードは、競技中審判員が許可した時とベンチ内でははずしても良い。 2—8項 走塁ベース 連盟が認めたグランドソフトボール専用のものを使用する。 2—9項 ユニフォーム 2—9・1 同一チームの監督・コーチャー・プレイヤーのユニフォームは、同色、同意匠でなければならない。 ユニフォームに付ける登録番号、意匠等の色に関しては、見づらいものでなければ特にこれを定めない。 2—9・2 同一チームの監督・コーチャー・プレイヤーは、同色のアンダーシャツを着用しなければならない。 2—9・3 背中と胸下に登録番号(ユニフォームナンバー、以下略す)を付けなければならない。 (1)監督は30番、専任のコーチャーを配置する場合は、31番から34番、主将は10番、他のプレイヤーは1番から99番までの番号とする。 (2)数字の大きさは、背中は20cm四方とし、胸は6cm以上12cm以下とする。 (3)ユニフォームの背中に個人名を付ける場合は、登録番号の上部にローマ字で全員付ける。 2—9・4 プレイヤーは、次の標示物等を身に付けなければならない。 (1)全盲プレイヤーは、幅8cm以上のユニフォーム袖口の色と区別のつきやすい単色(黄色以外)の標示物を両袖に付ける。 (2)左遊撃手は、幅8cm以上の黄色標示物を片袖に付ける。 審判員は、違反に対し、ただちに是正させる。 2—9・5 危険防止のため、競技中のプレイヤー(コーチャーを含む)は、腕時計、ブレスレット、ネックレス等、危険と思われるものを着用してはならない。 審判員の指示に従わないときには、当該プレイヤー(コーチャーを含む)を試合から除く。 (1)試合から除かれた者は、ベンチにいてもよい。 (2)これに従わないときは、没収試合となる。 2—10項 用具の放置 用具をノープレイライン内に放置したままにしてはならない。(バット・球・マスク等) <ペナルティ> (1)送球がノープレイライン内で攻撃側の用具に触れたとき。 ①ボールデッド ②プレイの対象になった走者がアウトになる。 ③プレイの対象の走者がはっきりしないときは、本塁に最も近い走者がアウトになる。 (2)送球がノープレイライン内で守備側の用具に触れたとき。 ①ボールデッド ②野手の手を球が離れたときの塁を基準として、各走者に2個の安全進塁権を与える。 ルール3 プレイヤー 3—1項 フェアープレイ、スポーツマンにふさわしい行動 すべてのチームメンバーは、フェアプレイ及びスポーツマンにふさわしい行動をしなければならない。 <ペナルティ> ①違反者は退場。 ②ディレードデッドボール 3—2項 編成 (1)チームは監督を置かなければならない。監督不在の場合は、代行を立てなければならない。 (2)1チームは10名、指名打者(DH「DESIGNATED HITTER」)を採用した場合は11~12名である。 (3)10名のプレイヤーのうち、全盲プレイヤーは4名以上とする。 (4)12名のプレイヤーは、次のように呼ばれ、打順表への守備位置番号は次ぎの通りとする。 12名のプレイヤーと守備位置番号 投手(ピッチャー) 1 捕手(キャッチャー) 2 一塁手(ファースト・ベースマン) 3 二塁手(セカンド・ベースマン) 4 三塁手(サード・ベースマン) 5 左遊撃手(レフト・ショート・ストップ) 6 左翼手(レフト・フィルダー) 7 中堅手(センター・フィルダー) 8 右翼手(ライト・フィルダー) 9 右遊撃手(ライト・ショート・ストップ) 10 全盲指名打者(トータル・ブラインド・デシィグネイテッド・ヒッター) DH 弱視指名打者(ロービジョン・デシィグネイテッド・ヒッター) DH ※左遊撃手と捕手は弱視プレイヤーでなければならない。 ※右遊撃手と投手は全盲プレイヤーでなければならない。 (5)プレイヤーが出場したと認められるのは、以下のときである。 ①試合開始のときは、打順表(オーダーシート)が公式記録員、または審判員に提出(確認)されたとき。 ②交代のときは、監督が球審に通告したとき。 ③打順表には、守備位置、氏名、登録番号、全盲・弱視の別を記入しなければならない。 (6)打順は全盲プレイヤーを続けてはならない。 (7)プレイヤーの人数がそのチームの編成人員を欠いた場合は没収試合となる。 3—3項 指名打者(DH) 指名打者とは、打撃専門のプレイヤーをいう。指名打者(DH)は全盲・弱視いずれか1名ずつの採用することができる。 (1)指名打者は、全盲・弱視それぞれどの守備者につけてもよいが、試合開始前に打順表に登録しなければならない。 (2)指名打者は、試合途中から採用することはできない。 (3)指名打者は、試合中いつでも解除することができる。 ①監督は球審に、指名打者が守備につくか、守備者が指名打者の打順を受け継ぐかを通告しなければならない。 ②指名打者または守備者は、スターティングプレイヤーであっても、指名打者の解除により試合から退いた場合は再出場できない。 3—4項 コーチャー 自チームのプレイヤーに指示・誘導するため、各コーチャーズボックス内に、専任のコーチャーまたは、監督及びプレイヤー1名を置かなければならない。全盲のコーチャーを認めない。 ただし、他のプレイヤーと区別するため、黄色の帽子等を身につけなければならない。 3—4・1 コーチャーは、インプレイ中、コーチャーズボックスを出て指示・誘導をしてはならない。 (1)コーチャーの位置する範囲は、身体の一部をコーチャーズボックスに置かなければならない。 <ペナルティ> ①ボールデッドで打者アウト。 ②走者は進塁できない。 (2)コーチャーは自チームのプレイヤー及び守備者に対する危険並びに守備妨害を回避するためにコーチャーズボックスを出ることができる。 (3)ボールデッドのときには、試合の進行等必要に応じてコーチャーズボックスを出ることができる。 3—4・2 (1)コーチャーは走者が安全に走塁するために、助言や指示を与えることができるが、全盲野手に打球処理の機会があるときは、大きな声や連呼、必要以上の手ばたき等の行動で、妨害してはならない。 (2)全盲打者走者・全盲走者に対するコーチャーの誘導は、連続した手ばたきとする。 (3)身体の一部をコーチャーズボックス内に置いていれば、全盲打者走者・全盲走者の身体に触れて誘導してもよい。 (4)弱視打者走者・弱視走者に対する手ばたきによる誘導は認めない。 (5)器具等を用いて誘導してはならない。 <ペナルティ(1)~(5)> ①ボールデッド ②当該打者走者または走者アウト。 ③走者は進塁できない。 3—5項 守備位置 3—5・1 投球時、野手は投手、捕手を除き、フェア地域のどの場所に守備してもよい。野手はファウル地域で守備をしてはならない。 <ペナルティ> 不正投球となる。 (1)投手が投球し、打者が打たなかった場合。(空振りのときを含む) ①ボールデッド ②打者にワンボールを与える。 ③走者には1個の安全進塁権を与える。 (2)投手が投球し打者が打った場合 ①ディレードデッドボール ②攻撃側の監督に a)プレイの結果を生かすか b)不正投球のペナルティを取るかの選択権を与える。 3—5・2 野手(投手を除く)は打者の打撃行為が完了した後でなければ、投手板より前に出て守備してはならない。 <ペナルティ> 不正投球であり、攻撃側の監督に選択権が与えられる。 3—5・3 投球時に投手は、正しい位置に着き、また、捕手は捕手席にいなければならない。 <ペナルティ> 不正投球であり、攻撃側の監督に選択権が与えられる。 ルール4 プレイヤーの交代 4—1項 正しい交代 登録された選手は、いつでも交代できる。 選手を交代させるときは、監督が球審に通告しなければならない。 (1)打順表は、各試合開始前に公式記録員、または審判員に提出する。打順表には守備位置、氏名、登録番号、全盲・弱視を記入する。(打順表の登録番号の誤りは訂正して試合を継続すれば良い。ペナルティはない。) (2)控え選手の氏名、登録番号、全盲・弱視は指定された欄に記入する。 (3)正しい登録メンバーは、競技中いつでも追加できる。 (4)打者走者、または走者が事故で与えられた塁まで進めないときには、控え選手と交代できる。その控え選手は代わって走塁することができる。 (5)交代は全盲プレイヤー同士、または、弱視プレイヤー同士で行う。 4—2項 無通告(不正)で交代 (1)選手は、無通告交代(不正交代)をしてはならない。無通告交代となるのは投手が投球動作に入ったときである。 (2)無通告交代(不正交代)は、相手チームから審判員に申し出があったときに違反が成立する。 (3)違反しているチームが、相手チームから違反が指摘される前に、審判員に申し出れば試合が進行していても違反にならない。 <ペナルティ> ①違反者は、試合から除かれ、無資格選手が宣告される。 ②違反者は、正しい交代者と交代する。 ③違反者(無資格選手)が更に出場したときは、没収試合となる。 (4)守備中に発見されたとき ①プレイの関与に関わらず、上記のペナルティが適用される。 ②ブレイに関与して、次の投球がなされる前は、攻撃側の監督にプレイの結果を生かすか、打ち直し(打撃完了前のボールカウント)するかの選択権が与えられる。 ③プレイに関与した後、1球が投球された後プレイは有効である。 (5)攻撃中(打者・走者)に発見されたとき ①打撃完了前は、正しい交代者がボールカウントを受け継ぎ、それまでのすべてのプレイは有効である。 ②打撃完了直後は、打撃によるプレイはすべて無効で、違反者にアウトが宣告される。 ③打撃完了後、1球が投球された後は、それまでのすべてのプレイは有効である。 4—3項 再出場  (1)スターティングプレイヤーは、いったん試合から退いても、いつでも1回に限り再出場ができる。ただし、自己の元の打順を受け継いだプレイヤーと交代しなければならない。 (2)スターティングプレイヤー以外が再出場した場合は再出場違反を適用する。 (3)再出場違反は、相手チームから審判員に申し出があったときに成立する。 <ペナルティ> ①監督と違反者が退場となる。 ②違反者は正しい交代者と交代する。 ③違反者が更に出場したときは没収試合となる。 4—4項 指名打者の交代 指名打者違反は、相手チームから審判員に申し出があったときに成立する。 <ペナルティ> ①監督と違反者が退場となる。 ②違反者は正しい交代者と交代する。 ③違反者が更に出場したときは没収試合となる。 4—5項 無資格選手 無資格選手が出場したときは、没収試合となる。 ルール5 試合 5—1項 攻守の決定 攻守の決定は、特に定めのない場合は主将のジャンケンによる。 5—2項 正式の試合 5—2・1 勝敗の決め方 試合の勝者は、正式試合において相手チームよりも多く得点したチームである。 (1)7回表裏終了時、先攻チームが後攻チームより多く得点したとき。 (2)後攻チームが先攻チームの7回終了時より得点が多いとき。 (3)後攻チームが7回の攻撃中、先攻チームの得点よりも多くなったとき。 5—2・2 正式に試合が成立する場合 (1)正式の試合は7回である。 5回あるいはそれ以上の回を終了していれば正式の試合と認められる。 (2)試合が途中で中止された場合、後攻のチームが5回を攻撃しなくても、また攻撃の途中であっても、先攻チームより多く得点したときは正式の試合として認められる。 (3)引き分け試合 ①5回以上の均等の回を終了して同点のとき。 ②5回あるいはそれ以上の回で、後攻チームが先攻チームと同点となり、その後中止されたとき。 (4)正式引き分け抽選 ①試合終了時に出場していた両チームのプレイヤーが最終回の守備位置順に抽選をする。 ②○印の多いチームを勝ちとする。○印×印同数の場合は◎印の持っているチームの勝ちとなる。 (5)延長戦 ①7回終了時、同点の場合は延長する。 ②7回終了時、同点の場合は8回からタイブレーカーにより試合を継続する。 8回の表から無死・走者二塁を設定して攻撃を継続する。二塁走者は前の回の最後に打撃を完了したものとし、打者は前回から引き継ぐ正位打者(正しい打順の打者)とする。 (6)コールドゲーム 時間制を採用した大会、降雨、日没、その他、突発的な事情により、試合の継続が不可能と判断された場合等に、球審が試合の打ち切り終了を宣告する試合をいう。 コールドゲームは、大会要項に明記し、競技委員長、審判長及び当該審判員が協議し、球審が宣告する。 (7)没収試合 次のような場合は、没収試合となる。 ①チームがスケジュールに組み込まれた試合の指定時間に競技場に到着しないか、または定められた時間内に試合することを拒否したとき。 ②無資格プレイヤーが試合に出場したとき。 ③チームのプレイヤー、関係者により、審判員が暴行や暴言を受けたとき。 ④退場命令、その他の理由により、選手が10人(DH制の時は11人及び12人)より少なくなったとき。 ⑤チームのメンバーが審判員に注意された後、故意にルール違反をしたとき。 ⑥メンバーが退場を命ぜられた後、1分以内にこれに従わなかったと ⑦試合が始まった後、球審により試合の中断、あるいは終了が宣告されていないのに、一方のチームがプレイの継続を拒否したとき。 ⑧プレイの宣告後2分以内にプレイを始めなかったとき。 ⑨チームが明らかに試合の引き延ばしとみられる行為をしたとき。 没収試合の決定は、大会の競技委員長、審判長及び当該審判員が協議し、球審が宣告する。(得点は7−0となる) 5—2・3 正式試合が成立しない場合 5回が完全に終了しないときは無効試合(ノーゲーム)となる。ただし、5-2・2の扱いを受けるときは除く。 ルール6 得点 6—1項 得点となる場合 走者が、その回の第3アウト前に、正しく走塁ベースの一塁、二塁、三塁、本塁に触れた場合、1点が記録される。 6—2項 得点とならない場合 (1)打者走者が一塁に触れる前に第3アウトになったとき。 (2)走者のフォースアウトが第3アウトのとき。 (3)先行する走者がその回の第3アウトになったとき。 (4)第3アウトがアピールにより有利な第4アウトと置き換えられたとき。 ルール7 打ち合せ 7—1項 守備側の打ち合せ 守備側の打ち合せは、監督がタイムを要求して投手と打ち合せをすることをいう。 打ち合せが内野地域内で行われたとき打ち合せが終了したとみなされるのは、監督がベンチに戻る際にファウルラインを越えたときである。 (1)投手の打ち合せは、1イニング中1人の投手に対し1回限りである。 (2)攻撃側の打ち合せ中、守備側が打ち合せをしたとしても、それは打ち合せをしたとはみなさない。 (3)タイムを要求しないで打ち合せをしたときは、審判員の判断により、打ち合せとみなす。 <ペナルティ> 打ち合せを再度行うと、投手は交代しなければならなくなり、この試合では再び投手にはなれず不正投手となる。 7—2項 攻撃側の打ち合せ 攻撃側の打ち合せは、監督がタイムを要求して、攻撃側のメンバー(打者・走者・次打者・コーチャー)と打ち合せをすることをいう。 (1)打ち合せは、1イニング中に1回限りである。 (2)守備側の打ち合せ中、攻撃側が打ち合せをしたとしても、それは打ち合せをしたとはみなさない。 (3)タイムを要求しないで打ち合せをしたときは、審判員の判断により打ち合せをしたとみなす。 <ペナルティ> 打ち合せを再度行うと監督が退場となる。 (4)全盲打者の打撃姿勢に対するコーチャーの言動は打ち合せとみなさない。 ルール8 投球 8—1項 ストライクゾーン  全盲打者は打撃姿勢に関わらず本塁中央の上面から球の半径の上方空間までをいう。また、弱視打者の高さの制限は、脇の下から本塁の上方空間までをいう。 8—2項 ストライク  (1)正しい投球がストライクゾーン(コースを含む)を通過したとき。 ①投球のバウンド数は、本塁に達するまでに3バウンド以上でなければならない。 ②投球がストライクゾーンをスリップして通過するときはバウンド数の制約を受けないが、本塁直前で地面にスリップする投球でなければならない。 (2)正しい投球を打者が空振りしたとき。 (3)ファウルチップとなったとき。 (4)ノーストライクまたは1ストライクのとき、打球がファウルボールになったとき。 (5)投球が空振りされ打者に触れたとき。 (6)ノーストライクまたはワンストライクのとき、打者席内の打者に打球が触れたとき。 (7)ストライクゾーンを通過する投球が打者に触れたとき。 (8)球審がプレイを宣告した後打者が10秒以内に打撃姿勢をとらなかったとき。 (9)(5)〜(7)はボールデッドである。走者を投球時占めていた塁に戻す。 8—3項 ボール (1)投球がストライクゾーンを通過しないか、あるいは本塁に達する前に3バウンド未満か本塁直前でスリップせず打者が振らなかったとき。 (2)ストライクゾーンを通過しない投球が打者の身体に触れたとき。 (3)投手が球を受けるか球審が「プレイ」を宣告して20秒以内に投球を完了しなかったとき。 (4)準備投球が規定の数を超過したとき。(1球毎にワンボールが宣告される) (5)不正投球が宣告されたとき。 <処置(2)(5)共通> ボールデッド 8—4項 投球 投球は、投球準備動作と投球動作からなる。 (1)投球は、投手が打者に対して球を投げることをいう。 (2)投球準備動作は、投手が球を持って試合停止圏内で投球するため、投手板に近づき投球動作に入るまでの一連の動作をいう。 (3)投球動作は、投球のために投手板を踏み、捕手の合図(手ばたき)終了後に、本塁に向かって投球するため、動作を起こしたときに始まる。 8—4・1 正しい投球準備動作及び、捕手の諸動作 (1)投手板を踏むときは、軸足を触れていなければならない。これは、両足でも軸足のみでもよい。 (2)捕手の合図(手ばたき)を聞くときには、 ①軸足を投手板に触れる。 ②球を持つ。 (3)捕手の諸動作 ①捕手席内に位置する。(捕手席にいなければ投手は投球位置にいるものとみなされない) ②投手と打者が定められた位置に着いたことを確認する。 ③5秒以内の連続した手ばたきを行う。全盲打者に対しては手ばたき終了後、発声をしてはならない。 (4)投球前には、 ①両足の位置を決めて球を持つ。 ②捕手の合図(手ばたき)終了から 5秒以内に投球動作に入る。ただし、捕手の合図(手ばたき)中は、投球動作を起こしてはならない。 8—4・2 正しい投球動作 (1)打者に対して片手か両手で投げなければならない。 (2)打者に対して自由足を投手板より一歩前方に踏みだすと同時に投球しなければならない。 (3)自由足の踏み出す範囲は自由である。 (4)投球動作に入るとき、軸足が投手板を離れなければスライドしても良い。 (5)投手が投球するとき、自由足が前方に着地するまで軸足は投手板から離してはならない。 (6)両手投げの場合の軸足は、自由足以外の足である。 8—5項 投手が足を投手板に触れた後、投手板を外すことができる場合 (1)牽制球のとき。 (2)アピールプレイをしようとしたとき。 (3)投手が再度の合図を求めるとき。(口頭で再度の合図を求める) (4)突発的事情で投球できないと審判員が認めたとき。 8—6項 投手板の外し方 投手が投手板を外すときは、投手板の後方に外さなければならない。投球前に両足が投手板に触れている場合は、他方の足も投手板の後方に外さなければならない。 8—6・1 投手の牽制球は、捕手の合図(手ばたき)開始から終了するまでにしなければならない。 8—7項 不正投球 正しくない投球をいう。 <ペナルティ> (1)投手が不正投球し、打者が打たなかった場合。(空振りも含む) ①ボールデッド ②打者にワンボールを与える。 ③走者には1個の安全進塁権を与える。 (2)投手が不正投球し打者が打った場合。 ①ディレードデッドボール ②攻撃側の監督に a)プレイの結果を生かすか b)不正投球のペナルティをとるかの選択権が与えられる。 8—7・1 正しくない投球動作 (1)速やかな投球動作でないとき。 (2)左右のゆさぶり動作をしたとき。 (3)途中で停止したり、逆回転する投球動作をしたとき。(突発的事情で動作が中断した場合は不正投球ではない) (4)投球時に、軸足が投手板以外の地面を蹴って投げたとき。(クローホップを含む) (5)球を離した後に投球動作を続けたとき。 (6)自由足が前方に着地する前に軸足が投手板から離れたとき。 (7)投手板に足を触れたまま牽制球を投げたとき。 (8)投手板に足を触れたままアピールするため送球したときは、アピール権はなくなる。 (9)捕手の合図(手ばたき)終了後に牽制球を投げたとき。 8—7・2 他の野手により不正投球となる場合 (1)野手が打者の打撃行為を完了する前に、投手板より前に出て守備したとき。 (2)捕手が、投手による投球が手から離れる前に捕手席外にいたとき。 (3)投球時に、捕手以外の野手がファウル地域で守備したとき。 (4)左遊撃手以外の弱視野手が全盲打者に対し、投球時に内野地域へ入っていたとき。 8—7・3 投手の試合中の禁止事項 (1)球を持たないで投手板上やその近くで投球準備動作及び投球動作をすること。 (2)投球する手や指にテープや他の物質を使用すること。 (審判員の確認したロジンの使用は許可される) (3)投球する手首や前腕部に汗とりバンド等を着用すること。 (4)球に異物を付着させること。 (5)投手板に触れてから打撃をさせないように落球したり転がしたりすること。 (偶然に落としたときはボールインプレイで投球はカウントしない) 8—8項 故意四球 守備側が、投球せずに故意に打者を一塁に歩かせるため、投手が球審にその旨を通告することをいう。 (1)通告は打席の初めでも、いかなるボールカウントのときでも行うことができる。 (2)通告は投球とみなされ、四球を与えるのに必要な投球数がカウントされる。 (3)故意四球が通告されると、ボールデッドになり走者はフォースのとき以外は進塁できない。 8—9項 準備投球 (1)初回と投手交代のときの準備投球は5球以内で、各イニングは3球以内で捕手、またはチームメンバー(監督・コーチャーを含む)を相手に行う。 (2)同一イニング中に再度投手になる場合は、準備投球はない。 <ペナルティ> 超過して準備投球を続けた場合、1球毎に打者へワンボールを与える。 8—10項 無効投球 ボールデッドで、それに伴うすべてのプレイは無効となる。 (1)ボールデッド中に投球したとき。 (2)打者が打撃姿勢をとっていないとき、または前回の投球後にバランスを崩しているときにすばやく次の投球(クイックリターンピッチ)をしたとき。 (3)投球のため球を離す前に、弱視走者が塁を離れたため離塁アウトとなったとき。ただし、全盲走者の離塁は、捕手の合図(手ばたき)が始まれば許される。 (4)投手が球を持ち全盲打者に対して、捕手の合図(手ばたき)中に観衆から、声や音があったとき。 8—11 項 不正投球が取り消される場合 打者が打って一塁に安全に達し、その上すべての走者が1個以上進塁したとき。 8—12 項 不正投球でなくボールデッドで、打者にワンボールが与えられる場合 (1)無走者のとき、捕手が投手への返球を故意に遅らせたとき。 (2)走者の有無に関係なく、投手が球を受けるか球審がプレイ宣告後20秒以内に次の投球を完了しなかったとき。 (3)投手の投球動作中、手から球がスリップしたとき。 8—13 項 不正投手の再登板禁止 (1)不正投手は、再登板してはならない。再登板と認められるのは投手が投球動作に入ったときである。 (2)不正投手違反(再登板)は、相手チームから審判員に申し出があったときに成立する。 <ペナルティ> ①違反者は、退場で無資格選手となる。 ②違反者は、正しい投手と交代する。 ③違反者(無資格選手)が更に出場したときは、没収試合となる。 (3)投球中に発見された場合 ①プレイの関与に関わらず、上記のペナルティを適用する。 ②プレイに関与して次の投球がなされる前は、攻撃側の監督にプレイの結果を生かすか、打ち直し(投球完了前のカウント)をするかの選択権を与える。 ③プレイに関与した後、1球が投球された後は、プレイは有効である。 ルール9 打撃 9—1項 打撃  (1)打者は、投球の前に完全に打者席内に両足を置き、打撃姿勢をとらなければならない。 (2)打撃完了後に打者の片足が打者席の外の地面に触れれば、たとえもう一方の足が打者席内に残っていても、打者走者となる。 (3)打球が打者席内にいる打者の身体に触れたときは、ボールデッドでファウルボールである。 (4)三振してすでにアウトとなった打者が、捕手の守備を妨害したときは、ボールデッドで本塁に近い走者がアウトとなる。 (5)野手に触れない打球が弱視打者走者に触れたときは、ボールデッドで弱視打者走者はアウトになる。ただし、全盲打者走者はボールデッドでファウルボールである。 (6)四球の宣告を受けた弱視打者走者が捕手の守備を妨害したときは、その弱視打者走者がアウトとなり、塁上の各走者は投球時に占めていた走塁ベースへ戻す。 全盲打者走者の場合は、ボールデッドとして一塁への安全進塁権を与える。 9—2項 打撃の順序 (1)攻撃側のプレイヤーは、打順表に記載した順序に、打者にならなければならない。 (2)各回(イニング)での先頭打者は、前回(前のイニング)で打席を完了した打者の、次の打者である。 (3)ある回(イニング)の中で、打者が打撃を完了する前に第3アウトになってその回(イニング)が終わった場合は、その打者が次回(次のイニング)の先頭打者である。 9—3項 打者の義務 (1)打者は、球審がプレイを宣告後、10秒以内に打撃姿勢を取らなければならない。 <ペナルティ> ①ボールデッド  ②打者にストライク1個が与えられる。 (2)打者は、投手が投球のため軸足を投手板に触れ、捕手の合図(手ばたき)が始まったら、打者席を出たり打撃姿勢を止めてはならない。 投手が投球したらストライク、またはボールとなる。 (3)打者は特別の事情がない限り、みだりに打者席を外してはならない。 全盲打者については、本塁コーチャーが責任を持って誘導にあたる。 9—4項 次打者の定位置 (1)次打者の定位置 ①次打者席に入ることのできる者は、打順表で打者の次に記入されているプレイヤーである。 ②次打者は、自チームのベンチ側の次打者席内で待機しなければならない。 (2)次打者が次打者席を出てもよいとき。 ①打者になるとき。 ②次打者は、次打者席に検定バットを2本まで持ち込むことができる。そのうち1本はウォームアップバットでもよい。 ③ウォームアップバットにバットリング等を取り付けてはならない。不正ウォームアップバットは没収する。 <ペナルティ> 再度持ち込んだときは、当該プレイヤーを退場させる。 9—5項 打球 (1)打球がフェア地域で、バット、マスク等に触れたときは、球が反転してファウル地域に出ないかぎりフェアボールでボールインプレイである。 (2)打球がファウル地域でバット、マスク等に触れたときは、ボールデッドでファウルボールである。 (3)全盲打者がバットを握った把握手部で球を打ったときは、打球とみなす。 (4)全盲打者は、1スイング中バットが球に何度当たっても打球とみなす。 9—6項 フェアボールとファウルボール 9—6・1 フェアボールとは、次のごとく正しく打たれた球である。 ※付録1にまとめる。 (1)打球が内野に止まったとき。(図1) (2)バウンドしながら内野から外野へ越えていく場合、A・B両方の上方空間を通過したとき。(図2) (3)守備塁(ベース)に触れたとき。(図3) (4)最初に落下した地点が、守備塁間線上、または外野の地域であったとき。(図4) (5)フェア地域の上方空間で、審判員、プレイヤーまたはコーチャーに触れたとき。(図5) (6)野手の身体の大部分がファウル地域にあっても、球が最初に触れた位置がフェア地域の上方空間であったとき。(図6) (7)フェアボールかファウルボールかは、野手が球に触れた瞬間であり、球の位置とファウルラインとの位置関係で判定されなければならない。 9—6・2 ファウルボールとは、次のごとく打たれた球である。 ※付録2にまとめる。 (1)打球が、打者席内にいる打者の身体及び打者の持つバットに触れたときは、ボールデッドでファウルボールである。 (2)打球がファウル地域で用具に触れたときは、ボールデッドでファウルボールである。 (3)ファウルボールが野手により正しく捕球されない場合は、ボールデッドである。正しく捕球された時は、打者はアウトになる。走者は、捕球後タッチアップができる。 (4)走者は、ファウルボールが捕球されない場合は元の塁に戻らなければならない。 (5)打者が2ストライク未満の場合は、ストライクがカウントされる。 (6)ファウルボールについて球審は、「ファウルボール」とコールし、シグナルをする。また、ファウルボールがノープレイラインを越え外に出たときは、危険防止のため速やかに「ノープレイ」とコールする。一度、ファウルボールのコールをした打球は、その打球が再びフェアボールになってもノープレイとする。 ファウルボールとは、次のごとく正しく打たれた球である。 (1)打球が、守備塁の本塁・一塁間,本塁・三塁間のファウル地域で止まったとき。(図7) (2)バウンドしながら内野から外野へと越えていくとき、A・B両点の外側の上方空間を通過したとき。(図8) (3)最初に落下した地点が外野のファウル地域であったとき。(図9) (4)投手板に当たり、はね返って守備塁の本塁・一塁間、本塁・三塁間のファウル地域に出て止まったとき、またはノープレイラインを越え外に出たとき。(図10) 9—7項 ファウルチップ (1)打者の自然な打撃姿勢のとき、打者の頭より低い区域で、バットにチップした打球が地面に触れないで直線的に捕手の手に達し、捕手が正しい捕球をすることをいう。 (2)ファウルチップは、ストライクでボールインプレイであるが、走者は進塁できない。 (3)捕球できない場合は、ボールデッドでファウルボールである。 9—8項 打者がアウトになる場合 9—8・1 打者が自動的にアウトになる場合 (1)第3ストライクによるアウト ①第3ストライクが宣告されたとき。 (注1)第3ストライクが暴投や捕逸であっても球審は第3ストライクを宣告する。ただし、暴投や捕逸はボールデッドである。 ②打者が空振りして(バントを含む)第3ストライクとなった球が、打者の身体の一部に触れたとき。 ③三振振り逃げはない。 ④打者が2ストライク後にバントした打球が、ファウルボールになったとき。(スリーバント・アウト) (2)フェアフライ、またはファウルフライが弱視野手に正しく捕球されたとき。 (3)フェア、またはファウル地域の打球を全盲野手が体内捕球したとき。 (4)故意落球が宣告されたとき。 9—8・2 打者が不正行為によりアウトになる場合 (1)不正投球を不正バットで打ったときは、投球前に打者席に持ち込んでいるので打者はアウトになる。 (2)不正投球を正規のバットで不正打球したときは不正打球が取り消される。 (3)打者が片足でも完全に打者席の外に出て、バットが投球に触れたとき。(不正打球)ただし、全盲打者は除く。 (4)弱視打者が、投球を二度打ったとき。(不正打球) (5)打者がバットを手から離して打ったとき。 (6)投手が投球のため投手板に触れ、捕手の合図(手ばたき)が始まった後、打者が反対側の打者席に移ったとき。 <ペナルティ(1)〜(6)> ①ボールデッド ②打者アウト ③走者は進塁できない。 9—8・3 打者が守備妨害でアウトになる場合 (1)打者は、打者席外の地面に踏み出して捕手の送球や守備を妨害してはならない。 (2)打者席内にいても、野手の守備を故意に妨害してはならない。 (3)全盲打者の場合は、すぐに守備妨害とせず場面により判断する。 <ペナルティ> ①ボールデッド ②打者アウト ③走者は進塁できない。 9—8・4 守備妨害で打者がアウトにならない場合 (1)不正投球をしたとき。 (2)離塁違反で走者アウトとなったとき。 9—8・5 打者が他の攻撃側のメンバーのためにアウトになる場合 (1)先行する走者が野手の送球に対する守備動作を故意に妨害したとき。 (2)攻撃側のメンバー(走者は除く)が、ファウル飛球(全盲野手の場合は打球)を捕球しようとしているのを妨害したとき。 (3)全盲打者のとき、投球された球が本塁を通過する前に、「ストライク」「ボール」等の言葉や指示がでたとき。 (4)打者が打球に対する守備を妨害したとき。 (5)走者がファウル飛球を捕球しようとしている野手を妨害した場合は、その走者はアウトで打者はファウルボールとして打撃を継続する。 (6)コーチャーズボックス外のコーチャーに打球が触れたとき、また、コーチャーズボックス内のコーチャーが故意に打球に触れたと審判員が判断したとき。ただし、コーチャーズボックス内のコーチャーに偶然打球が触れたときはインプレイである。 <ペナルティ(1)〜(6)> ①ボールデッド ②打者アウト ③走者は進塁できない。 9—8・6 打順の誤りがあった場合 (1)不正位打者(正しくない打順の打者)が打席に入っている間に間違いが発見されたときは、正位打者(正しい打順の打者)がボールカウントを引き継いで交代すればよい。 不正位打者が打撃をしている間に起こったボール、ストライク、得点、進塁、走塁はすべて有効である。 (2)不正位打者が打撃を完了した後、投手が次の打者への投球動作に入る前に、間違いがアピールされたときは正位打者がアウトになる。 ①不正位打者の打撃によるか、その打者が出塁したことによる進塁、得点はすべて無効である。 ②打撃完了前の暴投、悪送球、不正投球、失策などによる進塁、得点はすべて有効である。 (3)打順の誤りはアピールプレイで守備側によってのみ行われる。 (ボールデッド中でもできる) (4)次打者に1球目の投球動作に入った後、打順の誤りが発見されアピールされたときは、不正位打者の打撃、得点あるいは進塁もすべて有効である。 (5)打順の決め方 ①打順の誤りが発見されて、正位打者がアウトになったときは、そのアウトとなった正位打者の次の打順の者が正位の打者となる。 ②次打者に1球目の投球動作に入った後、不正位打者が発見されたときは、正位打者と認められ、この正位化された不正位打者の次の打順の者が正位の打者となる。 ③第3アウトが打順間違いに対するアピールプレイで成立したときは、次の回の先頭打者は打順を抜かされてアウトとなった正位打者の次の打順の者である。 ④正位打者が走者として出塁しているときは、その走者の次の打順の者が正位打者である。 9—8・7 投球が身体や衣服に触れた場合 (1)ストライクゾーンを外れた投球が身体や衣服に触れた場合は、ボールデッドである。 ①打者がバットを振らない場合は、ボールとカウントする。 ②打者が空振りした場合は、ストライクとカウントする。 ③打者が打った場合は、ボールデッドでストライクとカウントする。 (2)ストライクゾーンを通過する投球を、打者が打たず身体や衣服に触れたときはボールデッドでストライクとカウントする。 (3)走者の有無に関係なく、不正投球が打たれずに打者席内で打者の身体や衣服に触れたときは不正投球とする。 9—9 項 打者に対して安全に一塁が与えられる場合 (1)打者が四球を得たとき。 (2)打者が投球を打つのを捕手や他の野手が妨害したとき。 <ペナルティ> ①ディレードデッドボール ②攻撃側の監督に打者の一塁への安全進塁権をとるか、プレイの結果を生かすかの選択権が与えられる。 ③打撃妨害を選択した場合は、他の走者はフォースでないと進塁できない。 <処置> ①打撃妨害は、投手が正規の投球をしたときに適用される。 ②打撃妨害のときの投球に規則違反があったときは、打者と共にすべての走者が1個以上進塁しない限り「不正投球」が適用され、攻撃側の監督に選択権を与える。 ③打撃妨害にも関わらずプレイが続けられたときには、攻撃側の監督に一塁への安全進塁権を取るか、打撃の結果を生かすかの選択権を与える。 ④「選択権の申し出」は、プレイが終わったら直ちにしなくてはならない。いったん申し出のあった後の変更はできない。 ⑤打撃妨害にも関わらず打者が一塁に安全に達し、かつ全ての走者が 1個以上進塁したときには、打撃妨害はなかったものとしてプレイは続けられる。 (3)全盲打者のとき、投球された球が本塁を通過する前に、守備側より「ストライク」などの言葉を発するか、捕手が投球と別の方向に移動して打者を混乱させたとき。 (4)フェアボールの打球に弱視走者が触れたとき。全盲走者は故意でないかぎりボールインプレイである。 (5)触塁中の走者が故意に打球に触れたとき。 <ペナルティ> ①ボールデッド ②走者は守備妨害でアウト ③打者には一塁の安全進塁権を与える。 9—10 項 打者走者がアウトになる場合 9—10・1 自動的にアウトになる場合 (1)打球がフェアで一塁走塁ベースに触れる前に、野手が球を保持して一塁(守備ベース)に触球した場合。 (2)野手が球を保持し、身体の一部を一塁(守備ベース)へ接触する行為も一塁への触塁である。 (3)一塁手の捕球(触塁)と打者走者の触塁が同時のときはセーフである。 (4)全盲打者走者(走者も含む)を刺殺や封殺するためには、弱視野手は軸足を固定しなければならない。軸足が固定できない場合は2人以上の野手が必要であり、最終弱視野手は軸足を固定しなければならない。 (5)飛球を打ち、野手に捕球されたとき。 (6)打球を全盲野手がジャッグル・ハンブルしても、全盲野手(他の全盲野手を含む)が体内捕球したとき。 (7)打者走者がノープレイラインを越えたとき。 <ペナルティ> ①ボールインプレイ ②打者走者はアウト (8)打者走者が一塁に達する前に野手の触球を避けようとして本塁の方向に後戻りしたとき。 <ペナルティ> ①ボールデッド ②打者走者はアウト ③走者は投球時占めていた塁に戻る。 9—10・2 打者走者が守備妨害でアウトになる場合 (1)打者走者が一塁で送球を処理しようとしている野手の守備を妨害したとき。 (2)走塁間を走っている打者走者に送球が触れたときはアウトにならない。 (3)全盲打者走者は、コーチャーの指示・誘導にしたがって進塁行為を行うが、指示・誘導が的確ではなかったり蛇行したときに一塁手と衝突する時があるが、送球行為があるときは守備妨害、ないときにはインプレイとする。 (4)打者走者が打球を処理しようとしている野手の守備を妨害したり、送球を故意に妨害したとき。 (5)妨害が審判員の判断で、明らかに併殺を邪魔しようとしたものであれば、併殺対象の走者もアウトになる。 (6)弱視打者走者(走者を含む)が、打球を処理しようとした野手と接触したときは守備妨害で弱視打者走者がアウトとなる。全盲打者走者は、走路上ではディレードデッドボールでインプレイ、走路以外では守備妨害となる。 (7)打者走者が、明らかに本塁上でアウトになるようなプレイを妨害したとき。(本塁に向かって来た三塁走者もアウトになる) (8)打球が弱視打者走者の身体や持っているバットにフェア地域、ファウル地域で触れたとき。全盲打者走者は故意の場合は守備妨害としてアウトになる。故意でない場合は、フェア地域、ファウル地域であってもボールデットでファウルボールとする。 <ペナルティ(1)〜(8)> ①ボールデッド ②打者走者はアウト ③他の走者は投球時に占めていた塁に戻す。 9—10・3 打球がバットに当たった場合 打者が落としたバットに転がって来た打球が触れたときは、打者の行為が打球のコースを妨害しようとしたものでない、と審判員が判断したときには、ボールインプレイでフェアボールになるか、ファウルボールになるか、成り行きを見守る。 ルール10 走塁 10—1項 進塁及び逆走塁の順序 (1)走者は、進塁するときは正しく、走塁ベースの一塁・二塁・三塁・本塁の順に各塁に触れなければならない。 (2)打者が四球を得たとき、フォースの状態にある各走者は正しい順序で、すべての走塁ベースに触れなければならない。 (3)ボールインプレイ中に逆走塁するときは、走塁ベースの本塁・三塁・二塁・一塁の順に再び各塁に触れて戻らなければならない。 (4)次の場合、各走者は逆走塁をすることができる。 ①飛球が飛んでいるうちに次の塁へ進んだ走者が、捕球されたのを見て元の塁へ戻ろうとするとき。 ②進塁の途中で、塁を空過した走者がその塁を踏み直そうとするとき。 ③後位の走者が、前位の走者を追い抜きそうになり、戻ろうとするとき。 (5)走者に安全進塁権が認められたときでも、走者は各走塁ベースに正しく触れて進塁、または逆走塁をしなければならない。 (6)進塁は走者になった順に行わなければならない。後位の走者が前位の走者を追い越せば、後位の走者はアウトとなる。 (7)(3)~(6)については、ボールデッド中も同様とする。 10—2項 ボールインプレイ中に走者が進塁できる場合 (1)フェアの球がファウル地域を転々としたが、ノープレイラインを越え外に出なかったとき。 (2)球がフェア地域に打たれ、ノープレイラインを越え外に出なかったとき。 (3)タッチアップの場合。 タッチアップとは、飛球が弱視野手に触れた直後、走者が進塁するためにスタートを起こすことをいう。ただし全盲野手の場合は体内捕球後、走者が進塁するためにスタートを起こすことをいう。 (4)走者は、投手の投球の際に盗塁をしてはならない。しかし、牽制プレイの場合に限って、走者に進塁の権利が与えられる。この場合は、牽制球を投げる野手(投手を含む)の手から球が離れた後に、再度の触塁(リタッチ)をすれば進塁できる。 (5)投球終了後の捕手から野手への返球をはじいた場合には進塁できない。 10—3項 走塁ベースの占有権 (1)走者の塁の占有権は、次の塁に正しく触れるまでか、あるいは後位の走者のために塁を空けざるを得なくなるまで続く。 ①塁に触れている限り、野手に触球されてもアウトにはならない。 ②打者が四球を得たときや、フェアの打球を打ったときは、後位の走者に押し出されて自動的に次の塁へ進まなければならない。 (2)2人の走者が同時に同一の塁を占めたときは、最初に正しくその塁を占めた前位の走者が、その優先権を有する。 <ペナルティ> 後位の走者は身体か、その守備ベースに触塁されるとアウトになる。 10—4項 走者が走塁ベースに触れた後、塁(ベース)が定位置から移動した場合 その走者の身体の一部が区画された塁にいれば、その走者に対するプレイはできない。 (1)その走者は、触球か守備ベースに触塁されたとき、塁に触れていればアウトにならない。 (2)後位の走者が進塁してきたときは、元に置かれていた地点(塁)に触れるか、止まっていればその塁を占めたことになる。 10—5項 打者走者 (1)打者走者は、いったん一塁走塁ベースに触れた後、走り越したり、滑り越しても直ちに塁に戻って触れればアウトにならない。 (2)四球で出塁した場合も同じである。 10—6項 走塁ベースを空過した走者が、その空過した塁に戻れない場合 (1)ボールインプレイ中、ボールデッド中を問わず後位の走者が得点したとき。 (2)ボールインプレイ中、ボールデッド中を問わずノープレイラインを越えたとき。 (3)ボールデッド中、次の塁に達したとき。 (4)ボールデッド中、本塁を空過した走者は、試合再開が宣告されると本塁を踏むことができない。 10—7項 タッチアップの早過ぎた走者が、その早過ぎた走塁ベースに戻れない場合 (1)ボールインプレイ中、ボールデッド中を問わず、後位の走者が得点したとき。 (2)ボールインプレイ中、ボールデッド中を問わず、ノープレイラインを越えたとき。 (3)次の塁に達していてボールデッドになったとき。 10—8項 走者が安全に進塁できる場合 10—8・1 1個の安全進塁権が与えられる場合 (1)不正投球が宣告されたとき。 (2)打者が次の理由で走者となって一塁へ進んだために、塁を空けなければならなかったとき。 ①四球を得たとき。 ②捕手、または他の野手が打撃妨害をしたとき。 (3)野手がボールインプレイの球を持ったまま、無意識にノープレイラインを越えたとき。 各走者にそのとき達していた塁から更に1個の安全進塁権を与える。 (4)ファウルボールに対して、守備側が打球の方向指示違反を犯したとき。(打者走者のみに適用する) (5)全盲打者のとき、投球に対して守備側より言葉が発せられたり、打者を混乱させる捕手の動作があったとき。 10—8・2 2個の安全進塁権が与えられる場合 (1)野手が、帽子等着衣の一部を、本来着けている箇所から離して、送球に故意に当てたり捕球したとき。 <ペナルティ> ディレードデッドボール ①送球に当たらなければ適用は受けない。 ②走者はアウトになる危険を承知でさらに進塁してもよい。 ③2個の安全進塁権を与える基準は、送球に触れた瞬間でなく、その送球が野手の手を離れたときとする。 (2)飛球がフェア地域の野手に触れた後、ファウル地域のノープレイラインを越え外に出たとき。 (3)フェアの打球が、2バウンド以上したり転がったりしてノープレイラインを越え外に出たとき。  (2)(3)共に投球時に占有していた走塁ベースを基準とする。 (4)インプレイの送球が悪送球(オーバースロー)になり、ノープレイラインを越え外に出たとき。 野手の手を球が離れたときの各走者の位置を基準とする。 (5)野手がボールインプレイの球を故意に、ノープレイライン外に出したと、審判員が判断したとき。 各走者にそのとき達していた塁から、更に2個の安全進塁権を与える。 (6)送球がノープレイライン内で守備側の用具に触れたとき。 野手の手を球が離れたときの走塁ベースを基準として、各走者に2個の安全進塁権を与える。 (7)内野地域のフェアボールに対して、守備側が打球の方向指示違反を犯したとき。 (8)弱視野手が反則捕球を犯したとき。 ①全盲打者のときに、捕手及び左遊撃手以外の弱視野手が、内野地域に入り打球に触れることである。ただし、捕球後は内野地域に入ることができる。 ②ジャンピングキャッチのときは、着地時の足の位置による。 ③守備ベースに弱視野手の片足が触れていれば、反則捕球とならない。ただし、全盲野手の守備位置は自由であり本条項の適用を除外する。 <ペナルティ> ①ボールデッド ②打者走者には2個の安全進塁権を与える。 10—8・3 3個の安全進塁権が与えられる場合 (1)打球が野手に触れた触れないにかかわらず、フェアの飛球がワンバウンドで外野のノープレイラインを越え外に出たとき。 (2)野手が、帽子等着衣の一部を本来着けている箇所から離して、フェアの打球に故意に当てたとき。 ボールインプレイでアウトになる危険を承知で、さらに進塁することができる。 ①フェアの打球に当たらなければ本項の適用は受けない。 ②ホームランと思われるフェアボールのときはホームランとする。 ③3個の安全進塁権を与えるに際しての基準は、打球に当たった瞬間でなく、その打球が打たれたとき(投球時)とする。 (3)外野地域のフェアボールに対して、守備側が打球の方向指示違反を犯したとき。 10—8・4 4個の安全進塁権が与えられる場合 (1)フェアの飛球が本塁から45m以上の外野のノープレイラインを越え外に出たとき。 (2)フェアの飛球が野手に触れた後、地面に落ちる前にフェア地域の外野のノープレイラインを越え外に出たとき。 (3)フェアの飛球が、不正な捕球・触球などの行為がなければ、外野のノープレイラインを越え外に出たと審判員が判断したとき。 10—9項 審判員の判断により安全進塁権が与えられる場合 10—9・1 野手が走者の走塁を妨害したとき。(オブストラクション) (1)野手が走者の走塁を妨害したときは、すべてディレードデッドボールとして処置する。 <処置> 走者は審判員の判断により、妨害がなければ達したであろうと思われる走塁ベースまでの安全進塁権を与える。 10—9・2 チームメンバー以外の妨害によるとき。 ボールインプレイの球が、競技場に入り込んだチームメンバー以外の者に妨害されたと審判員が判断したときは、ボールデッドとなり、妨害がなかったならば試合はどのように進行していたかを考慮して適宜な処置をとる。 10—10項 走者がアウトになる場合 10—10・1 自動的にアウトになる場合 (1)弱視走者が野手の触球を避けて走塁間を結ぶ直線から両側おのおの0.91m(3フィート)以上離れて走ったとき。(全盲走者には適用除外) (2)ボールインプレイ中、走者が離塁中に触球されたとき。 (3)走者を挾殺プレイにする場合は、走者に直接触球するか走者が進塁か帰塁するまでに、両方の守備ベースに触塁・触球すれば中間位の走者は自動的にアウトとなる。 ①塁間に複数の走者がいる場合は、守備ベースに「ダブルタッチ」を行う。 ②中間位にいる走者(オーバーランをした走者を含む)は、一方の塁に触塁・触球されると、その塁には進塁または帰塁できない。 ③挾殺プレイが成立する前に守備側が他の走者に対するプレイを起こしたときには、走者は再び進塁も帰塁もできる。 (4)フォースプレイで、走者が進塁しなければならなくなった走塁ベースに触れる前に、野手がその守備ベースへ触塁・触球したとき。 (5)進塁の義務が生じた走者が、次の走塁ベースに触れた後、どのような理由にせよ、元の走塁ベースの方向にその塁を離れたときは再びフォースの状態に置かれる。したがって、野手にその身体または進塁すべき守備ベースに触塁・触球されれば、その走者はフォースアウトになる。 (6)試合中断後プレイが再開されたときに走者が帰塁していなかった場合。 (7)後位の走者がまだアウトになっていない前位の走者を追い越したとき。 ①追い越したかどうかの基準は、走者の位置がはっきりと入れ代わったかどうかで決める。また、追い越しは逆走塁の際にも適用され、常に後位の走者がアウトになる。 ②本項は、ボールインプレイ中に起こったプレイの結果、走者に安全進塁権が与えられたとき(例えばホームラン、悪送球)にも適用される。 (8)打者が打者席から出て、また、走者が塁から離れてノープレイラインを越えたときは、全て「アウト」とする。ただし、本塁を走り抜けノープレイラインを越えることがあるがアウトとしない。 (9)弱視走者が、正しい投球が投手の手から離れる前に占有する塁を離れたとき。 <ペナルティ> ①ボールデッド ②無効投球 ③その走者はアウトとなる。 (10)投手に対する離塁制限 投手が、投球のため球を持って試合停止圏内に両足が入ったときは、 ①触塁中の弱視走者は投手の手から球が離れるまで離塁してはならない。 ただし、全盲走者は捕手が投手に対する合図(手ばたき)が始まれば離塁できる。 ②離塁中の走者は直ちに元の走塁ベースに戻らなければならない。 ①〜②共、違反すれば走者は離塁違反でアウトとなる。 1)走者に対する投手の条件がなくなる場合 ①投手が停止圏から踏み出したり外に出たとき。 ②停止圏内で球をその手から離したり、落としたりしたとき。 ③その走者または他の走者に野手としてのプレイ(偽投を含む)をしたとき。 ④アピールプレイをしようとして球を試合停止圏の外に出したとき。 2)投手に対する走者の離塁制限の解除 投手が投手としての任務をなくしたときは、いったん帰塁した走者は塁を再び離れることができる。 3)離塁の走者に対する投手の義務 投手は、離塁中の走者が(進塁中でないときは走者を元の塁に戻すため)帰塁するのに必要な時間を与えなければならない。その時間は、急げば元の走塁ベースに帰塁できる程度の時間的余裕である。 4)投手が、投手としての義務を怠ったために帰塁義務が生じたときの離塁制限解除 投手が、走者が急げば帰塁できる時間を与えたが、走者が速やかに帰塁しなければ直ちにアウトになる。 (前位の走者が帰塁しなければならないときは自動的に他の走者も帰塁しなければならない) (11)2人以上の走者が同時に離塁違反したとき ①アウトの宣告の早い方をアウトとする。 ②同時のときは本塁ベースに近いほうの走者のみをアウトにし、他のすべての走者は帰塁させる。 (12)投球時に不正投球と離塁違反とがほぼ同時に発生したときは不正投球を適用する。 明らかに離塁違反の宣告の早いときは離塁違反を適用する。 10—10・2 走者が守備妨害でアウトになる場合 (1)走者が打球を処理しようとしている野手を妨害したり、あるいは送球または触球を故意に妨害したとき。 ただし、全盲走者が走路上で守備中の野手に触れた場合はディレードデッドボールとなる。 この妨害が審判員の判断によって、明らかに併殺(ダブルプレイ)を止めさせようとするものであれば、これに直接関連する走者または打者走者もアウトになる。 この処置は、走塁線上の全盲走者を除く。 ①走塁間の線上を走っていた弱視走者が、打球を処理しようとしている野手または打球に触れたとき。ただし、野手の後方を迂回することは認められる。 ②走者が、走塁ベースの方向を間違えて守備ベース方向に進行し、野手のプレイを妨害したとき。 ③走者が、ファウル飛球(全盲野手への打球も含む)を捕球しようとしている野手を妨害したときは、その走者はアウトで、打者はファウルボールとして打撃を継続する。 <ペナルティ>  ①ボールデッド ②走者アウト ③他の走者は妨害発生時に占めていた塁に戻す。 (2)離塁中の弱視走者が打球に触れたとき。 <ペナルティ> ①ボールデッド ②走者アウト ③他の走者は妨害発生時占めていた塁に戻す。 <処置> ①全盲走者がフェアボールに触れたときはインプレイで、ファウルボールの場合はボールデッドである。 ②触塁中の弱視走者がファウルボールに偶然に触れたときは、ボールデッドでアウトにはならない。 ③ ①・②共に打球に故意に触れたときは、ボールデッドでアウトになる。 ④アウトにならない場合の打者は、ストライクカウントが2ストライクまで加算される。 (3)走者が野手の処理できなかった球を故意に触れたとき。 (4)走者が逆走塁して、守備側を混乱させたとき。 (5)野手が球を持って走者をアウトにするために待ち受けているとき、走者が落球を狙ってその野手に故意に衝突したとき。 (6)全盲走者が走路上をはずれて守備している野手に接触したとき。 <ペナルティ(3)~(6)> ①ボールデッド ②走者アウト ③他の走者は違反行為発生時に占めていた塁に戻す。 10—10・3 走者が打者や走者以外のプレイヤーの守備妨害でアウトになる場合 (1)コーチャーがコーチャーズボックスから出て、走者を指示・誘導したとき。 (2)野手が打球あるいは送球を処理しようとしているとき、コーチャーが走塁間かあるいはその近くを次塁の方向に走り出し、次塁への送球を誘ったとき。 <ペナルティ> ①当該塁の走者がアウトになる。走者がいないときは打者走者がアウトになる。 ②攻撃側のベンチにいたプレイヤーが行ったときも、本塁に最も近い走者がアウトになる。 (3)次打者が走者に対する守備を妨害したとき。 (4)コーチャーが送球を故意に妨害したとき。偶然に触れたときはボールインプレイである。 <ペナルティ(3)(4)共> 本塁に最も近い走者がアウトになる。 10—10・4 走者がアウトになった打者走者・走者の守備妨害でアウトになる場合 アウトを宣告された打者走者・走者、または本塁を通過した走者が、他に走者がいるときに、守備側の事後のプレイを妨害したとき。 <ペナルティ> 本塁に最も近い走者がアウトになる。 10—10・5 走者がアピールアウトになる場合 (1)打球が野手に触れる前(タッチアップ)に、走者が塁を離れたとき。 (2)打者走者、または走者が進塁または帰塁するとき、走塁ベースに触れなかったとき。 (3)打者走者が一塁を通過した後、二塁に向かおうとしたとき。 <処置> 第3アウトは、アピールにより有利な第4アウトと置き換えられる。 10—11項 ボールデッドにおいて走者の帰塁基準 (1)ボールデッド中に各走者が帰塁する場合は、中間の走塁ベースに触塁し速やかに戻らなければならない。 (2)帰塁のためには、必要な時間が与えられなければならない。 (3)走者は、打者が打者走者になったために、次塁に進まざるを得ない場合を除いては帰塁しなければならない。 (4)アピールプレイの対象となる場合のタッチアッププレイは、ここでいう帰塁義務にはならない。 10—11・1 走者を投球時に占めていた塁に帰塁させる場合 (1)ファウルボールが野手に捕球されずストップボールになったとき。または、ノープレイラインを越え外に出たとき。 ①ゴロのファウルボールがノープレイラインを越え外に出たときでも、全盲野手の身体の一部がファウルグラウンドにあればインプレイである。 (2)ファウルボールが不正捕球されたため、球審がノープレイを宣告したとき。 (3)球審が不正打球を宣告したとき。 (4)球審が故意落球を宣告したとき。 (5)打者走者が一塁に達するまでに守備妨害をしたとき。 (6)一塁に向かう打者走者が野手による触球動作を遅らせるか避けるために、本塁方向に後戻りしてアウトを宣告されたとき。 (7)フェアボールがファウル地域で弱視走者に触れたとき。 全盲打者走者及び全盲走者が打球を故意に反転させたときも同様に扱う。 (8)弱視打者走者がフェア地域内でフェアボールに再度バットを当て、守備妨害となったとき。 (9)攻撃側のメンバーが野手のファウルボールの捕球を妨害したとき。 (10)コーチャーは、球審のファウルボールのコール後、野手の守備機会を妨害しないために走者(打者走者も含む)に対する進塁の指示・誘導を速やかに停止し、帰塁させなければならない。 <ペナルティ> ①ボールデッド ②当該走者はアウト ③他の走者は投球時に占めていた塁に戻す。 10—11・2 走者を妨害発生の瞬間すでに占めていた走塁ベースに帰塁させる場合 (1)球審が捕手の送球動作を妨害したとき。 (2)打者が捕手の送球動作を妨害したとき。 (3)走者が得点しようとしたとき、打者が本塁における守備側のプレイを妨害したとき。 (4)捕手、または他の野手が打者の打撃を妨害したとき。 (5)打者、または走者が故意に送球を妨害したとき。 (6)打者が打球を処理しようとしている野手の守備を妨害したとき。 (7)攻撃側のメンバーが、必要に応じて自己の占めている場所をゆずらないで、送球を処理しようとしている野手を妨害したため、アウトが宣告されたとき。 (8)走者が逆走塁して守備側を混乱させたとき。 (9)打球に、走者が故意に触れたとき。 (10)アウトを宣告された打者、または走者が野手の次のプレイを妨害したとき。 ルール11 守備 11—1項 守備チーム 競技場にいる守備側のチームをいう。 11—2項 アピールプレイ (1)審判員が監督、またはプレイヤーに要求されるまで判定を下すことができないプレイをいう。 (2)アピールは、投手が次の投球動作に入るまでにしなければならない。 11—2・1 アピールプレイの生ずるとき (1)打順の誤りがあったとき。 (2)打者走者、または走者が進塁または帰塁するとき塁に触れなかったとき。 (3)タッチアップが早すぎたとき。 (4)打者走者が一塁を通過した後、二塁に向かおうとしたとき。 11—2・2 ボールインプレイ中のアピールの仕方 (1)打順の誤り 審判に言葉でアピールする。 (2)塁の空過、タッチアップの早すぎ 該当の守備塁に触塁・触球するか、またはその走塁ベースを離れている走者に触球する。 (3)打者走者の一塁通過後の二塁に向かおうとしたとき打者走者に触球するか、守備ベースに触塁する。 (4)(2)(3)共に全盲(全盲打者)走者に対する弱視野手の持ち込みは禁止する。 (5)投手がアピールする場合は、球を離す前に両足を必ず投手板の後方に外さなければならない。 11—2・3 ボールデッド中のアピールの仕方 審判に言葉でアピールすればよい。 11—2・4 アピール権がなくなるとき (1)投手が次の投球動作に入ったとき。 このときの投球は、必ずしも正しい投球でなくてもよい。 (2)攻守交代のとき守備者の全員がフェア地域を離れたとき。 (3)試合終了後選手が整列をしたとき。 (4)投手が投手板に足を触れたままアピールしようとして送球したとき。 <ペナルティ> 不正投球であるが攻撃側の監督には選択権はない。 11—2・5 打順の誤りがアピールされたときの処置 (1)不正位打者が打撃をしている間であれば、 ①正位打者と交代し、不正打者のボールカウントを引き継ぎ打席に入る。 ②不正位打者の攻撃中、走者の進塁はすべて有効である。 (2)不正位打者の打撃が完了し、次の打者に投手が投球動作に入る前であれば、 ①正位打者をアウトにする。 ②不正位打者の打撃、または出塁による進塁はすべて無効である。 ③不正位打者の打撃中、他の走者の進塁はすべて有効である。 (3)不正位打者の打撃が完了し、次の打者に投手が投球動作に入った後であればアピール権がなくなり、すべてのプレイは有効である。 (正位打者は不正位打者の次位のものである) (4)打席に入るべき正位打者が走者になっているときは、その走者の次の打者が打席に入る。 11—3項 故意落球 次の3つの条件に当てはまるときに適用される。 (1)無死または一死のとき。 (2)走者が一塁、一・二塁、一・三塁、満塁のとき(走者が一塁にいるとき)。 (3)内野手が容易に捕球できるフェアの飛球(ラインドライブ・バンド飛球も含む)を地面に触れる前に片手または両手で打球に触れて、故意に地面に落としたとき。 <ペナルティ> ①ボールデッド ②打者アウト ③走者は投球時の塁に戻る。 <処置> 外野地域に飛んだ打球には故意落球は適用しない。 11—4項 正しい捕球(完全捕球) 正しい捕球とは、野手が上肢と体幹(抱きかかえ捕球も含む)によって、打球または送球を確実に固定(確捕)することをいう。(触れただけでは捕球とみなさない) 【弱視野手の場合】 (1)確捕する前にジャッグルしても、他の野手に触れていても、地面に触れる前に捕球したとき。 (2)いったん確捕して次の送球動作に移った後、落球したとき。 (3)バットにチップし、直線的に捕手の上肢と体幹に最初に触れた打球を、捕手が地面に触れる前に確捕したとき。 【弱視・全盲野手共通】 (4)ノープレイライン付近の飛球を捕球するとき。 ①身体の一部がノープレイラインの内側にあり、それを越えようとする打球を野手が捕球したとき。 ②ジャンプして捕球する場合は、着地時に身体の一部分がノープレイライン内にあればよい。 ③打球や送球を追っていったんノープレイライン外に出た野手が、再びノープレイライン内に戻りプレイすることは認められる。 【全盲野手の場合】 (5)全盲野手の体内捕球 ①体内捕球とは、全盲野手が弱視野手に触れない打球を捕球し地面から持ち上げることをいう。 ②全盲野手なら誰でも何回触れても、動いている球を確捕すれば正しい捕球とする。 11—5項 正しい触塁、正しい触球 (1)触塁は、野手が手(抱きかかえ)で球を確捕し、守備ベースに触球するか、身体の一部が守備ベースに触れればよい。 (2)弱視打者走者及び弱視走者への触球は、野手が手(抱きかかえ)に球を確捕し、球を走者に触れればよい。 (3)弱視野手が、全盲打者走者及び全盲走者に対する触球は、弱視野手が手(抱きかかえ)に球を確捕し、軸足を移動させずに走者に触れればよい。 11—6項 守備者の義務 (1)投球時は、捕手を除く野手はフェア地域内で守備しなければならない。 (2)捕手は、投球が投手の手を離れるまで捕手席内にいなければならない。 (3)球を持たないとき、または打球・送球の処理をしようとしていないときは、走者の走路を空けなければならない。 (4)用具を競技場内に放置してはならない。 11—7項 守備者の制限 (1)弱視野手は左遊撃手を除き全盲打者に対し、投球時に内野地域へ入ってはならない。全盲打者の内野地域への打球処理が出来る弱視野手は、捕手と左遊撃手のみである。ただし、触塁している場合は、内野地域へ入っているとはみなさない。 (2)守備側は全盲野手に対する打球の方向指示をしてはならない。ただし、打球の放たれた瞬間に各野手がポジション名や選手名をいうことを認めるが連呼をしてはならない。(守備についている全盲野手を除く。) 11—8項 守備者の禁止事項 (1)投球時、捕手を除く野手がファウル地域で守備すること。 (2)投手が投球のために球を手から離す前に捕手が捕手席内から出ること。 (3)打者の至近距離に位置したり、投球時に守備位置を変えたりして、打者を惑わし打撃を妨害すること。 (4)左遊撃手以外の弱視野手が全盲打者に対し、投球時に内野地域へ入っていたとき。 <ペナルティ(1)~(4)> 不正投球で、 ①ボールデッド ②打者にワンボールを与える。 ③走者に1個の安全進塁権を与える。 ただし、投手が投球し、プレイが続けられた場合は、 1)ディレードデッドボール 2)攻撃側の監督に a)プレイの結果を生かすか b)不正投球のペナルティをとるかの選択権が与えられる。 (5)投球を打とうとした打者のバットが捕手に触れること。 <ペナルティ> ①ディレードデッドボール ②打てなかったとき(ボールデッド)は打者に一塁への安全進塁権を与える。 ③打撃妨害にも関わらず打撃が続けられたときは、攻撃側の監督に一塁への安全進塁権をとるか、結果を生かすかの選択権が与えられる。 ④打者が一塁に安全に達し、かつ他のすべての走者が1個以上進塁したときは打撃妨害がなかったものとしてプレイは続けられる。 (6)打球・送球に帽子等を投げること。 <ペナルティ> ①ディレードデッドボール ②打球に当てたときは、投球時占めていた走塁ベースを基準として3個の安全進塁権を与える。(ただし、ホームランと思われるフェアボールのときはホームランとする) ③送球に当てたときには2個の安全進塁権を与える。 <処置> 2個の安全進塁権を与えるに際しての基準は、野手が投げた帽子等が送球に触れたその瞬間ではなく、その送球が野手の手を離れたときとする。ボールインプレイであるから、走者はアウトになる危険を承知で更に進塁してもよい。 (7)打者走者・走者の走塁(進塁・帰塁)を妨害すること。 <ペナルティ> ①ディレードデッドボール ②審判員の判断により、妨害がなかったならば達していたと思われる塁までの安全進塁権を与える。 (8)用具をノープレイライン内に放置すること。 送球がノープレイライン内で守備側の用具に触れたとき。 <ペナルティ> ①ボールデッド ②野手の手を球が離れたときの走塁ベースを基準として、各走者に2個の安全進塁権を与える。 ルール12 ボールデッドとボールインプレイ(試合停止球と試合進行球) 12—1項 ボールデッド(試合停止球) (1)審判員が「タイム」を宣告したとき。 (2)停止圏で球を保持したとき。ただし、次の場合は試合停止球とならない。 ①停止圏内で打球を捕球したとき。 ②停止圏外で打球を捕球し、送球のための一連の動作で停止圏内に入ったとき。 ③一塁に達していない打者走者の進塁。 ④フォースの状態にある走者の進塁。 (3)球がノープレイラインを越え外に出たとき。 (4)打者が故意四球を得たとき。 (5)球審が、プレイの宣告と直接関係のない、他の義務を果たすためにその位置を離れたとき。 (6)ボールインプレイを除くすべてのとき。 12—2項 ボールインプレイ(試合進行球) (1)球審がプレイを宣告したとき。 (2)送球が野手を通り抜け、プレイ可能な地域に留まっているとき。 (3)送球が審判員や攻撃側のプレイヤー(コーチャーを含む)に触れたとき。 (4)ボールデッドになる場合を除くすべてのとき。 12—3項 ディレードデッドボール ディレードデッドボールが適用されるケースは、次による。 (1)不正投球があったとき。 (2)打撃妨害があったとき。 (3)球審が捕手の送球を妨害したとき。 (4)走塁妨害があったとき。 (5)野手が帽子等を故意に投げつけて送球やフェアの打球に当てたとき。 (6)全盲野手に対して守備側が打球の方向指示違反を犯したとき。 ルール13 抗議(プロテスト) 13—1項 抗議できない場合 (1)打球がフェアか、ファウルか。 (2)走者がセーフか、アウトか。 (3)投球がストライクか、ボールか。 (4)投球が正しいか、不正か。 (5)走者が塁に触れたかどうか。 (6)飛球が捕らえられたとき、弱視走者が塁を早く離れたかどうか。 (7)飛球が正しく捕らえられたか、捕らえられなかったか。 (8)走塁妨害・守備妨害であったかどうか。 (9)試合を続行したり、再開するのに適しているかどうか。 (10)単に審判員の判定の正確性という点に含まれている他のいろいろな事項。 ①本項の判定内容について、チームは説明を求めることはできないし、審判員はこれに応じてはならない。 ②特にボール・ストライクの判定に必要以上の不服の言動がある場合は、警告後退場とする。 13—2項 抗議できる場合 (1)プレイイングに関する解釈の間違い。 (2)審判員によるルールの適用間違い。 (3)違反に対するペナルティ適用の間違い。 ①試合中抗議できる者は、監督または主将だけである。 ②審判員が、それがルールの解釈や適用を誤っていないと判断したときは、抗議の継続を拒み直ちに試合を再開しなければならない。 チームのメンバーがこれに応じないときは、警告した後、さらに抗議を繰り返したり、試合の再開を遅らせたときは没収試合を宣告することができる。 13—3項 抗議の時期 抗議に関する通告は、次の投球までか、守備者の全員がフェア地域を離れるまでの間に速やかに起こさなされなければならない。 ①プレイ中違反行為があってもそれに対する正しくない抗議をした場合は、その抗議に対してのみペナルティを科す。 ルール14 審判員(アンパイヤー) 14—1項 審判員の権限と義務 (1)審判員は、連盟の代表として、本ルールに基づいて試合を運営し、個々の試合を割り当てられ、本ルールの各条項を実施する権限を与えられている。 (2)審判員は、プレイヤー、監督、主将、コーチャーあるいはスコアラーに対してその判断により、本ルールの一部またはすべてについて、強制したり実施させたりすることができる。 (3)審判員は、本ルールに基づき、違反のペナルティを科することができ、どのような行為をも止めさせることができる。 (4)審判員は、プレイヤーが相手チームや役員、そして観衆に対して名誉を傷つけたり、侮辱を与える言葉を使ったりして、著しく非礼であると判断したときは、そのプレイヤーを退場させることができる。 (5)球審は、本ルールで特に規定されていないような状況が起こった場合、これらに関して裁定を下す権限を持っている。その際は、大会競技委員長・審判長の意見を考慮することが望ましい。 (6)没収試合の結果は、宣告後、球審が大会責任者にすみやかに報告しなければならない。 (7)審判員の任務を明確にするために、ボール・ストライク等の判定をする審判員を球審、塁についての判定をする審判員を塁審とする。また、外野のノープレイラインについての判定をする審判員を外野審とする。 (8)球審または塁審は、次の事項に関しては平等の権限を持っている。 ①弱視走者が塁を早く離れすぎたことに対するアウトの宣告。 ②プレイ中断のためのタイムの宣告。 ③ルールに違反したプレイヤー、コーチャー、監督に対する退場命令。 ④「イリーガルピッチ」の宣告。 (9)球審または塁審は、次の事項に関して宣告の義務がある。 ①停止圏で停止となったときの「停止」 ②ノープレイ ③ファウルボール ④フェア ⑤タッチ ⑥ストップボール 14—2項 審判員の交代 試合中審判員は、負傷あるいは病気でその試合の進行を果たすことができなくなった場合は、交代できる。 14—3項 審判員の判定 (1)審判員の判定は、明らかなルールの解釈・適用の間違いが認められない限り、変更されることはない。 (2)ルールに基づく判定に対して抗議があった場合、当該審判員は疑問があるときは、他の審判員と協議をする。 (3)どのような状況下においても審判員は、他の審判員が判定したことに関して、変更を要求したり、干渉・批判をしてはならない。 14—4項 プレイの中断 (1)審判員は状況を見て、必要と認めたときは試合を中断できる。 (2)球審が、プレイの宣告と直接関係のない他の義務を果たすために、その位置を離れたときは、いつでもプレイは中断される。 (3)審判員は、プレイの進行中は「タイム」を宣告してはならない。ただし、突発的な事情が生じたときは、審判員の判断で「タイム」を宣告することができる。 (4)プレイ進行中、プレイヤーに緊急事態が発生したときには、直ちにタイムを宣告する。 走者には、タイムが宣告しなければ達していたであろうと判断される塁を与える。 ルール15 記録 15—1項 公式記録員の任命 本競技を主管する大会会長は、公式試合のための、公式記録員(オフィシャルスコアラー)を任命する。 15—2項 任務 (1)公式記録員は、本ルールに示されている通りに試合の記録をする。 (2)公式記録員は、各試合の記録に当たり、判定に含まれる全決定を下す唯一の権限を持つ。 (3)公式記録員は、本ルールや審判員の決定と不一致な記録をしてはならない。 (4)公式記録員は、本ルールに明確に規定されていない事項については自己の裁量でその決定を下すことができる。 ルール16 用語の定義 アイシェード  全盲プレイヤーが視覚的な条件を統一するために装着するものである。連盟公認のアイシェードを使用しなければならない。購入後、ストラップについては、破損時の交換は認める。 全盲プレイヤーの標示物  全盲プレイヤーを表す、幅8cm以上の標示物。ユニフォーム袖口の色と区別のつきやすい単色(黄色以外)の標示物。 悪送球  野手から野手に投げられた球がノープレイラインを超えて外に出たことをいう。 アップボール  全盲打者の時、投球がボールの半径以上、ホームベース上で上方に浮いた状態であることを指す。 アピールプレイ  審判員が監督・プレイヤーに要求されるまで判断をすることができないプレイで、次の投球動作に入る前になさなければならない。また、イニング終了のときは守備者全員がフェア地域を離れるか、チームが整列するまでにしなければならないプレイをいう。 イニング  チームが3つのアウトを取るたびに、攻守を交互に行うゲームの一部をいう。イニングの攻守交代は3つ目のアウト成立直後からはじまる。 外野  内野手の通常の守備位置を除く、一塁および三塁方向のファウルラインと外野のノープレイラインの内側の部分及びその上方空間をいう。 確捕  野手が打球・送球・投球を手(抱きかかえ)で確実に捕球することをいう。 ジャッグルしていたり、全盲野手が地面から球を持ち上げていないときは確捕ではない。 監督  チームの責任者として作戦指揮をとり、試合の円滑な運営に協力する。監督不在の時は、必ず代行を立てること。 故意四球  守備側チームが投球せずに故意に打者を一塁に歩かせるため、投手が球審にその旨を通告することをいう。 コーチャー  各塁で走者に指示・誘導を与える者をいう。 コーチャーズボックス  走塁ベースの後方に一辺1.5mの正方形を引き、このボックスの中でコーチャーが打者・打者走者・走者の安全な進塁を補助する。 再出場  スターティングプレイヤーがいったん試合から退いたのち、いつでも一度に限りその試合に戻れることをいう。ただし、指名打者の解除により試合から退いた場合は再出場できない。 四球  打者が打撃中にボールを4個得て一塁へ安全に進塁できることをいう。 軸足  投手が投球するとき投手板を蹴る足をいう。また、守備の軸足もある。 次打者  打順表で打者の次に記入されている攻撃側のプレイヤーをいう。 指名打者  打撃専門のプレイヤーのことをいう。弱視1名、全盲1名を指名できる。 弱視プレイヤー 全盲プレイヤー以外のプレイヤーをいう。 守備ベース 守備側が守備を行う専用の塁(ベース)である。守備ベースは、野球やソフトボールと同じものを使用する。 守備妨害 攻撃側のプレイヤーまたはチームメンバーが守備のプレイを妨害することをいう。 触球 走者・打者走者が塁に触れていないとき、または占有権のない塁に触れているとき、野手によって触球されることをいう。打者走者および走者への触球は、野手が確捕した球で走者に触れればよい。弱視野手が全盲走者・全盲打者走者に触球するときは、軸足を固定しなければならない。正しい触塁とは、野手が手(抱きかかえ)で球を確捕し、塁にタッチするか、身体の一部が塁に触れればよい。 スターティングプレイヤー  試合開始前、球審に提出(確認)された打順表に記入されたプレイヤーをいう。 ストップボール  打球が完全に止まった状態であることを表す。主に、全盲野手が守備をしているときに打球が完全に止まれば、捕球してもフライキャッチアウトの扱いにならない。 ストライクゾーン  打者が打撃をしようとするとき、弱視打者は、脇の下までの本塁の上方空間をいい、全盲打者は、ボール半径までのホームベース上の上方空間をいう。 選択権  守備側の不正行為により攻撃側の監督に与えられる権利のことをいう。 全盲プレイヤー  アイシェードで全く見えない状態にしたプレイヤー。 走路  各走塁間を結ぶ直線の両側0.91m(3フィート)の仮想ライン内をいう。 送球  野手が他の野手へ球を投げる行為のことをいう。 走者  打撃を完了したのち、一塁に達し、まだアウトになっていない攻撃側のプレイヤーをいう。 走塁ベース  攻撃側が走塁を行う専用の塁(ベース)である。連盟が認めたグランドソフトボール専用のものを使用する。 走塁妨害  野手が球を持たないか、打球を処理しようとしていないとき、正しく進塁している走者の走塁を妨害することをいう。 退場  ルール違反やスポーツ精神に反する行為により、プレイヤー、チームのメンバー、役員を当該試合、及び球場から撤退させる審判員の行為のことをいう。 タイム  審判員が試合の中断を宣告する用語のことをいう。 打球  打つ意思に関係なく、投球がバットに当たるか、バットで打たれた球をいい、バットに当たったときから野手に確捕されるまでのことをいう。 打撃妨害  守備側のメンバーが打者の投球に対する打撃行為を妨害すること。 打者席  打者が打撃をするときに占めなければないない場所をいう。 打者走者  打撃を完了したが、まだアウトになっていないか、または一塁に達していないプレイヤーをいう。 打順  攻撃側チームの打撃をするときの打者の順番をいう。 打順表  チーム名、スターティングプレイヤーの打順、守備位置、氏名、ユニフォームナンバー、全盲・弱視の別、控え選手の氏名、ユニフォームナンバー、監督等の氏名を記入するカードをいう。 打席  打者が打者席に入ったときにはじまり、アウトになるか打者走者になるまでのことをいう。 タッチアップ  飛球が弱視野手に触れた直後、あるいは打球が全盲野手に確捕された直後に、走者が進塁するためにスタートを起こすことをいう。 チームメンバー  試合中ベンチに入る資格のあるメンバーをいう。 ディレードデッドボール  プレイが完了するまでボールインプレイで、そのプレイが一段落したのち、審判員が適切な処置をすることをいう。 停止圏  投手板の前縁の中心から1.5mにひかれた円内のこと。そこで送球を捕球したりボールを持ち込んだりすれば、その時点でボールデッドになり、走者の進塁を止めることができる。 投球  投手が打者に対して球を投げることをいう。 投手板  野球やソフトボールと同じものを使用する。ゴム製か木製の平板であり、所定の位置に上部が地面と水平になるようにしっかりと取りつける。 内野  内野手が通常の守備をする18m四方のフェア地域のフィールドの部分をいう。 ノープレイ  プレイを停止すること。または、プレイを停止させるため審判員が発するコールのことをいう。 ノープレイライン  プレイエリアの境界を表す諸線をいう。 バント  バットを振らないで意識的に球に合わせ、内野に向けて軽く当てられた打球をいう。 飛球  空中に打たれた球をいう。 ファウルライン  本塁から外野のノープレイラインまで引かれた直線であり、左側をレフト線といい、右側をライト線という。ファウルラインは、外野のノープレイラインの後方へグランド境界線まで延長して引く。 ファウルチップ  バットにチップした打球が、打者の頭よりも高くなく、捕手の手に直接触れて、地面につく前に捕手により正しく捕らえられることをいう。ファウルチップが捕球されたときは、インプレイでストライクである。捕球されないときはファウルボールである。 フェア  弱視野手が打球に触れた際に審判員が告げるコールのことをいう。 フェア地域  競技場の一部であって、本塁と一塁・三塁を通るファウルラインの延長線と外野地域の内側、及びその上方空間のことをいう。 フォースアウト  打者が打者走者となり、その打者走者、または後位の走者がアウトになる前に、前位の走者がその塁の占有権を失いアウトにされることをいう。 不正交代  無通告交代及び再出場違反のことをいう。 不正投手  守備側の打ち合わせ違反により、その試合中、投手としての資格を失ったプレイヤーをいう。 不正バット  正規の検定バット以外のもの。または、使用後規格に合致しなくなったものをいう。 プレイボール  投手が球を保持して投球位置にいるとき、試合をはじめるか、再開するために球審が宣告するコールのことをいう。 ボールデッド  試合停止球のことをいう。 捕球  野手が打球・送球を捕ることをいう。 捕手席  投手の手から球が離れるまで、捕手が占めていなければならない場所をいう。 本塁  場所でありホームプレートはその表示物である。ホームプレートは、野球やソフトボールと同じものを使用する。 持ち込み禁止 全盲打者走者及び全盲走者へのプレイでは、触塁するときに弱視野手は軸足を固定しなければならず、2歩以上歩くと塁に持ち込んだことになり、アウトにはならない。 野手  フィールド内にいる守備チームのプレイヤーをいう。 ユニフォーム  帽子・上着・ズボンをいう。同一チームのアンダーシャツ・ストッキング・アンダーストッキングは同色のものを用いること。全盲プレイヤーを表す標示物が見えにくくならないように配慮すること。 ライナー  鋭く直線的に打たれた飛球をいう。 ラインアウト  野手が触球しようとするときに、弱視走者が走路から内外へ0.91m以上離れて逃げれば、直接タッチしなくてもアウトになることをいう。 塁  野手の触塁や走者が進塁・帰塁するとき触れなければならない「所定の地面」をいう。 <解説> 審判心得 1.審判員ミーティングについて 試合前には、必ず担当審判員のミーティングを行うこと。試合後には、反省の意味も含めてミーティングを行い、指導員の意見も取り入れることが望ましい。 2.試合前後の整列の方法について バックネット前に、一塁方向から、右外野審、二塁審、一塁審、球審、三塁審、左外野審、中外野審と並ぶ。イニングの交代時は、外審は後方ネット前に下がって待機する。 3.審判員の服装について 連盟公認審判員の帽子及びシャツを着用する。ズボンは当分の間、紺または黒を基調としたものとする。 4.審判靴 球審、塁審を問わず「ラバーシューズ」を着用し、足音が出にくいように配慮する。 5.球審について (1)ストライクのコール  コールは、はっきりと声を出し、「ストライク・ツー」「ストライク・スリー」とし、右手指で数字を示す。 捕手が投球を後逸した場合は、ボールキーパーからワンバウンドで捕手に渡すよう指示し、少しでもロスタイムの是正に努める。 打者が見送りの三振をした場合は、多少のアクションを取り入れてゲームを盛り上げる工夫が欲しい。特に、声による判定指示をはっきりとさせるよう努める。 各審判員は球審も含めて、ベースフォローの為の動きを極力さけて、各ポジションで起こり得るプレイに備えると共に、ファウルコール後の全盲選手の確捕に凝視すること。 (2)ストップボール 球の静止状態を確認し、速やかにコールする。 判定コールに対しては、必ず横サイドまで移動をして見るのが最善ではあるが、あくまでも選手の邪魔にならない位置で球を注視できる位置を求める。 (3)カウントのコール ボールカウントの指示は、できる限り多く出し、選手のカウント意識を高められるように配慮をする。とくに四球の場合は、はっきりと「ボールフォアー」と声を出して指示を与える。 (4)担当する塁で起こり得るプレイを想定して、判定に対してより良い位置に速やかに移動するように努める。 (5)投球の判定については、球の大きさと、投球方法を考想して、ホームプレートを上から覗き込むような姿勢(膝を折るのではなく、腰を少し折って前かがみの形)をとり、コースを重点にして判定をする。 (6)アップボールの判定に疑問を生じたときは、塁審に指示して判定を仰ぐこととする。これは全盲打者の場合に限られるが、弱視打者の場合でもバウンドの回数がルール違反したという疑問が生じた場合は、塁審の指示を仰ぎ、正しい判定を心掛ける。 (7)すべてのコールは、べンチ、選手、観衆の為にも、アクションと共に大きくはっきり見せ、グラウンド全体に伝えられるように声量を工夫して、速やかな処置ができるように心掛ける。 6.塁審について (1)球審を助け、球に集中して、いかなる突発事故にも対処出来る態勢作りを心掛け、球審の問い(ゼスチャー)に対して、速やか、かつ正しい判定を送ることに努める。 守備ベースと走塁ベースが存在する関係から、判定は出来るだけ距離を保ってコールする。判定コールは審判員にとっては、最終的決定であるだけに、急がず冷静な態度とコールするに相応しい位置とりに努め、誰が見ても頷ける位置まで移動を試みて判定をするように努める。 外野飛球の深追いを避け、自分のポジションをあけないようにし、とくに全盲走者に対しては邪魔にならない配慮をし、大声で判定をするように努め、「ファウルボール」や「停止」のコールも他の審判員に同調して行い、無駄な走塁を少しでも少なくしてロスタイムの是正に努める。 (2)停止のコールは塁審にも権限があり、送球コースによっては、ポジションを問わない塁審の判断に委ねられるものが多いため留意すること。 (3)「アウト」「セーフ」のゼスチャーを工夫して、ゲームの盛り上がりに努めるのも、審判員の演出の一部であることを忘れてはならない。 7.外野審について (1)外野審は,通常2ないし3名で行うが、飛球に対する「フェア」「ファウル」「ツーべース」「スリーベース」の判定に努め、特に場内プレイか場外プレイの判定は、外審の判定に任されるだけに、正しい判定に努めなくてはならない。 外野ゾーンがラインで示されているだけに、たとえ片足が場外であっても、両足が場外に出てしまわない限りは「場内捕球」となるから、こうした微妙な判定には特に慎重をきして欲しいものである。 (2)ホームランとして判定できた飛球に対しては、「ホームラン」コールを大きく行う。 8.シグナルとコール (1)シグナルとコールは常に一致しており、しかも同時に明確に示されなければならない。安全でフェアーなプレイを保つため、どのような小さな妨害行為も見のがしてはならないと同時に、妨害行為に対する罰則の適用については、妨害をしたチームの方が有利になることのないよう妨害の宣告の時期、または適用の可否などについて、十分に考慮されなければならない。 (2)判定の対象となるプレイが際どいか余裕があるか、また、試合全体の雰囲気が緊迫しているか、どうかなどによってシグナルやコールを調節しなければならない。 (3)「タイム」「イリーガルピッチ」「ランナーアウト」「インターフェア」「停止」「反則捕球」「ストップボール」などは、宣告するとき、1歩前に出ていって、他の審判員にもはっきりわかるように、大きなシグナルとコールを用いる。 (4)審判員がシグナルやコールを示す時期は、プレイに対する判定と一致するのが原則であるが普通は判定よりも心もち遅らせたほうが無難であるといわれる。判定より早いシグナルやコールは、予測的な動作として厳に戒めなければならない。 (5)シグナルやコールは、プレイの結果に対する判定を表示するものであるが、その結果の時機と一致しないこともある。プレイの結果の時期が問題となるようなケースでは、シグナルやコールが遅れたことによって、他のプレイの結果が違ってくることもある。こういう場合には、一つのプレイの結果を慎重に確認するよりもまず、プレイと同時にその結果をシグナルやコールで示しプレイが一段落した後、他の審判員と協議して、結果の正しい判定を行うことが大切である。また必要に応じた場内放送などにおいて判定の説明が望まれる。